おじいさまの形見の琥珀カフスを、毎日身に着けたくなるリングとペンダントへ

完成した琥珀リングとペンダントを並べて写した写真

おじいさまの形見として手元に残されていた、琥珀のカフス。
誰も使うことがなく、そのまま大切にしまわれていたそうですが、あらためて見つめると、その琥珀はころんと丸みがあって、なんとも愛らしい表情をしていました。そこで「この可愛い形を活かして、リングとペンダントにペアでできたら素敵ですね」とご相談をいただき、今回の製作が始まりました。

おじいさまの形見として残されていた琥珀カフス。ここから新しい物語が始まりました。

最初に拝見した際から感じたのは、ただ古いものを作り替えるのではなく、ご家族の時間や思い出もそっと受け取りながら形にしていくお仕事なのだということでした。形見の品には、それぞれ言葉にしきれない気持ちが宿っています。だからこそ、急がず、無理をせず、ひとつひとつ確かめながら進めていくことを大切にしました。

三角形に近い丸みのある琥珀カフスを正面から写した写真
ころんと愛らしい形の琥珀。ペアジュエリーにしたくなる魅力がありました。
カフスの裏金具や周辺パーツを外した途中工程の写真
まずは元枠との向き合いから。石を傷めないよう丁寧に分離していきます。

まずは、しっかり固定されていた元のカフス枠から、琥珀をきれいに無事取り外す作業から。
ここは見た目以上に緊張する工程です。石を傷めず、でも枠はきちんと分離する。その加減を見極めながら丁寧に進め、無事に琥珀だけの姿にすることができました。

ノギスで琥珀のサイズを計測している写真
美しい仕上がりのために、サイズ計測は細かく正確に行います。

元枠から外れたあとは、サイズや厚みを細かく計測。
この数値が、その後の仕上がりの美しさや着け心地を左右します。琥珀のやわらかな輪郭を活かしながら、できるだけすっきり、そして日常でも使いやすいシンプルな仕様を目指しました。

琥珀を手に持ち、画面上の3D設計と見比べている写真
実物の琥珀と3D設計を照らし合わせながら、バランスを整えていきます。
琥珀を留めるためのペンダントデザインを正面から表示したCAD画像
ペンダントは琥珀の輪郭を引き立てる、すっきりとしたデザインに。
リングとペンダントを並べた3D完成イメージ画像
リングとペンダントをおそろいに。日常でも使いやすいペア仕様です。

ここからは、公式LINEアカウントを使って、動画や画像でのやり取りが始まります。
ご自宅にいながら、好きなタイミングで確認できるのは、お客様にとって大きな安心につながります。「リングは着けたときにどう見えるか」「ペンダントは服の上でどんな印象になるか」――言葉だけでは伝わりにくい部分も、動画や立体イメージで共有できるため、作り手との小さな誤差が起きにくくなります。

3Dプリント用データを画面で処理している作業中の写真
設計後は原型出力の準備へ。完成前に立体で確認できる安心があります。
3Dプリンター本体で原型出力を行っている写真
原型製作が始まると、デザインが一気に現実味を帯びてきます。
3Dプリンター内部でリングとペンダントの原型が造形されている写真
同時に進むリングとペンダントの原型出力。ペアならではの一体感があります。
出力されたばかりのリングとペンダントの樹脂原型写真
立体になった原型で、厚みやバランスを具体的に確認していきます。

設計が固まると、3Dプリンターで原型を出力し、実際の立体として確認していきます。
画面の中では良く見えていたものも、立体になることで初めて分かることがあります。厚み、傾き、バランス、指に通した時の印象。そうした細かな部分まで確認できるので、完成前の不安もぐっと小さくなります。

元の枠から外した琥珀と3Dプリントした枠パーツを並べ、形状の確認をしている場面です。石の輪郭に無理なく寄り添う枠にするため、細部の調整を重ねていきます。枠パーツを並べた写真
琥珀の輪郭に合わせて、新しい枠づくりの方向を丁寧に探っていきます。
3Dプリントした枠に琥珀をセット、リングゲージでサイズの確認、ペンダント枠と並べて確認した写真
着けた時の印象まで想像しながら、リングとしての見え方を整えます。リング用とペンダント用、それぞれの琥珀の見え方やサイズ感を確認している写真です。身に着けた時の存在感や日常使いのしやすさも考えながら形を詰めています。
リング腕やペンダントの土台となる金属パーツを手に持った写真
着け心地まで左右する大切な土台づくりです。
琥珀を新しい枠に仮合わせしたリングとペンダントの途中工程写真
石留め前の仮合わせ。完成の表情が見え始める嬉しい瞬間です。

こうして少しずつ形になっていったリングとペンダントは、琥珀の魅力を主役にした、とても素直なデザインに仕上がりました。枠はあえて控えめに。石の色とやわらかな丸みがいちばんきれいに見えるように整えています。華美ではないのに、ちゃんと心に残る。そんな、長く寄り添ってくれるジュエリーです。

完成した琥珀リングを正面から写した写真
ぷっくりとした琥珀の愛らしさを主役にした、やさしくシンプルなリングが完成しました。
ぷっくりとした琥珀の愛らしさをペンダントで。さりげなく使いやすい一品に仕上がりました。
完成した琥珀リングとペンダントを並べて写した写真
形見の琥珀が、これからの日常に寄り添うペアジュエリーになりました。

受け継いだ品を、これからの暮らしの中でまた使える形にする。
それは、思い出を閉じ込めることではなく、思い出を今の時間へとつなぎ直していくことなのかもしれません。今回のご相談でも、さまざまなお話を伺いながら製作を進めるうちに、私どもまであたたかな気持ちを分けていただいたように感じました。

「古いまま置いてあるけれど、このままでいいのかな」
「使いたい気持ちはあるけれど、どう相談したらいいのか分からない」
そんなお気持ちをお持ちの方にも、こうしたやり取りの積み重ねが、少しでも安心につながればうれしく思います。大切な品だからこそ、無理なく、わかりやすく、身近に。これからも、そんなジュエリー製作を丁寧に重ねてまいります。