手書きの書が放つ静寂の美。3D技術と貴金属鋳造で紡ぐ「いろは歌」

身に纏う日本の伝統美——「いろは歌」を貴金属へ
「いろはにほへと ちりぬるを…」
日本人であれば誰もが一度は耳にし、口ずさんだことのある「いろは歌」。そこには「咲き誇る花もやがて散りゆくように、この世に永遠に変わらないものは存在しない」という、古来より日本人が重んじてきた諸行無常の美学が込められています。
ただの文字や言葉を超えた深い精神性を持つこの「いろは歌」を、現代の装身具として身に着けることはできないか——。そんな想いから、手書きの「書」というアナログ表現と、3D CADや鋳造といったデジタル・精密加工技術を融合させた特別なペンダントの制作が始まりました。
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1. 幾度も書き重ねた「直筆の書」から始まる原型づくり
製作の出発点は、毛筆による筆文字の揮毫(きごう)です。既成のフォントやコンピューター上で作成した文字では表現しきれない、人の手が生み出す柔らかな掠れ(かすれ)や強弱、優美な曲線を追求しました。
何枚もの紙に向かい、何度も何度も練習と推敲を重ねた末に、「いろは歌」の清書が完成しました。文字同士のバランスを考慮し作品として進めて行きます。これがすべてのデザインの骨格となります。



2. 筆線を壊さずに立体化する3Dデータ構築とプリント出力
完成した直筆の書をスキャンし、3D CADソフトウェア(3D Builder等)に取り込みます。ここでは単に平面の文字を立ち上げるだけでなく、筆の払いや抑えによるニュアンスを殺さないよう、慎重に3Dデータへ落とし込んでいきます。文字と文字を繋ぐ線の太さや、構造としての強度も考慮した緻密な計算が必要です。
データが整うと、光造形3Dプリンターを用いて高精細な樹脂原型を出力します。出力された青い樹脂モデル(試作品)をパソコン画面上のデータや手元で入念に照らし合わせ、文字の抜け感やラインの美しさを厳しくチェックします。


3. 貴金属鋳造と「約3mm」の絶妙な立体感
3Dプリントで造形した原型を元に、ロストワックス鋳造(キャスティング)の工程を経て貴金属へと姿を変えます。
鋳造から上がってきた金属パーツは、磨きを加えることで美しく輝き出します。特にこだわったのが、文字の厚みと立体感です。文字の立ち上がりは約3mmの絶妙な高さを確保しました。これにより、平坦なプレートにはない光と影のコントラストが生まれ、胸元に置いたときに書画が宙に浮かび上がるかのような、奥深い存在感と品格を醸し出します。



4. 想いを世界へ届けるパッケージと海外仕様のメッセージ
ひとつひとつ丁寧に仕上げられたペンダントは検品を経て量産化され、品質保証書(CERTIFICATE OF GUARANTEE)と共に大切にパッケージングされます。
さらに、海外の方や日本文化に深い関心を寄せる方に向けて、英語によるミニ説明書も制作・添付いたしました。

"Iroha ni hoheto..."
— these are words that surely every Japanese person has heard at least once.
While the exact origins and authorship of the Iroha poem remain unknown, it is said to embody the philosophy that nothing remains unchanged forever—much like flowers that bloom and eventually scatter. Knowing this background transforms the characters into something far more profound than mere text. We have crafted jewelry that brings these words—cherished by the Japanese people since ancient times—to life by combining digital and analog techniques.
(日本語訳:日本人なら一度は耳にしたことがある「いろはにほへと…」。いろは歌には、花が咲いて散るように永遠に変わらないものはないという考えが込められています。背景を知ることでただの文字には見えなくなってくる、昔の日本人が大切にしてきた言葉をデジタルとアナログの技術でジュエリーに仕立てました。)
文化の背景や込めた意図を言葉として添えることで、ジュエリーは単なる装飾品を超え、歴史と心を繋ぐ物語へと変化します。

アナログとデジタルが交差する、唯一無二の装い
完成した「いろは歌」ペンダントを胸元に飾ると、細やかに流れる筆線の美しさと、キャスト金属の持つ重厚感が際立ちます。
歴史ある書の美学という「アナログ」と、現代の最先端「デジタル」造形。相反するふたつの要素が高次元で融合することで、時代を超えて語り継がれる新しい日本伝統文化のジュエリーが誕生しました。
古くから大切にされてきた言葉を胸に抱き、日々の装いに静寂と華やかさを添えてみてはいかがでしょうか。

